朝日新聞デジタルは13日付で「アディーレ業務停止、2日間で相談2千件 広告違反問題」として以下の記事を配信した。
「アディーレ法律事務所」(本店・東京)が景品表示法違反(有利誤認表示)の広告をしたとして2カ月の業務停止処分を受けた問題で、東京弁護士会が設けた臨時電話相談窓口への相談が、受け付けを始めた12日から13日までの2日間で、約2千件に上ったことがわかった。
同弁護士会によると、電話相談窓口(03・6257・1007)は、平日の午前9時~午後5時に受け付けている。同事務所の依頼者が対象で、弁護士10人態勢で対応しているが、電話が鳴り続けている状態。「アディーレ法律事務所と連絡がとれない」「既に支払った弁護士費用や着手金、預かり金はどうなるのか」など、不安を訴える内容が多いという。
同事務所は「処分を受け、事務所として受任契約を結んだ顧客には契約終了を伝える書面を順次発送していく」。東京弁護士会は「電話が混み合い、つながりづらい状態が続いている。時間をおいてかけ直してほしい」としている。
引用以上
東京弁護士会は、アディーレ法律事務所の依頼者数から考えれば、上記引用記事のように電話がつながらずに、アディーレ法律事務所の多くの依頼者にいたずらに不安を与える事態になることぐらい分かっていたはずである。業務停止となれば、過払い金の返金も予定どおりに受けられなくなり、不安になる事は当たり前であろう。
アディーレ法律事務所の業務停止についての論評を行うマスコミもみられるが、以下の東洋経済新報の記事中で弁護士会の会務に詳しいベテラン弁護士が法人としてのアディーレ法律事務所が業務停止処分を受けた原因として「弁護士会内の政治的な力学が働いたという説も耳にするが、実際は違うと思う。違法広告を戒告程度で済ませたら、消費契約法や景表法等の消費者保護の問題を弁護士会が軽視していると言われかねない」という見解を述べているが、全く見当違いである。
【参考リンク】誰がアディーレを業務停止に追い込んだのか懲戒請求者も驚愕、重すぎる「業務停止2カ月」
弁護士会が、消費者契約法や景表法の消費者保護の問題を軽視しているといわれかねないのを避けるためというのであれば、一般消費者のカネを巻き上げる弁護士に1年程度の業務停止処分で済ませ、処分期間が終われば弁護士業務に平然と復帰させるような行為こそ、消費者保護の問題を軽視しているのではないだろうか?
何度も引用しているが弁護士懲戒制度が「お友達主義」で成り立っていることを立証する懲戒処分が以下の内藤満弁護士(東京)に対する懲戒処分とその後の東京弁護士会の対応である。
【参考リンク】弁護士自治を考える会 弁護士会のクレサラ研修の講師は弁護士懲戒処分アリ!
この内藤満弁護士は、毀誉褒貶はあったがクレサラ問題を積極的に受任し最終的には非弁提携問題で平成14年に退会命令を受けた桑原時夫弁護士(東京 故人)の、退会命令後の依頼者の引継ぎ問題で当時の東京弁護士会のクレサラ委員会の委員長として「被害者救済」に当たったようであるが、桑原氏の目からはそうは見えなかったようだ。
【参考リンク】
(桑原時夫の経歴、意見 九、事後の処理について をご確認ください。)
違法広告を戒告程度で済ませてはならないという意見も最もであるが、内藤満弁護士の懲戒処分の要旨を確認していただき、このような事を「戒告」で済ませていいとは筆者には思えないのであるが、会務に詳しいベテラン弁護士はどう思っているであろうか?
被懲戒者はAから債務整理の依頼を受け株式会社Bに対し不当利得返還請求訴訟を提起し2006年9月1日勝訴した
B社は同月6日判決で支払いを命じられた金員を被懲戒者の預金口座に送金したが整理手続きに使用する口座としてB社に連絡済みの口座だった。またB社は送金の前後に送金の事実を被懲戒者に通知しなかった。被懲戒者は上記送金の事実を知らずにB社に対し文書により2回支払いを督促したが何の応答もないため2007年1月31日B社の預金口座を差し押さえた。B社は既に送金済みであることを伝え直ちに差押えを取り下げるよう要求した銀行預金の差押えは債務者に甚大な信用毀損をもたらすことが多いことから債務が消滅したことが判明した以上、差押手続を直ちに取り下げなければならないが被懲戒者は先の送金がAに対する弁済である旨の確認書の交付及び差押手続費用の支払いを求めて交渉し差押えを直ちに取下げしなかった
被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
引用以上
判決が下された事件で、相手方から判決で認容された金額の支払いあったにも関わらず、相手方に督促を行い回答がないからと言って強制執行を行い、相手方が支払ったから強制執行は取り下げろと言ってきたら、入金がなされた金額が判決で認容された金額の弁済であることを確認する書面を出せ、差押手続きの費用を支払えと言って、差押の取り下げをしなかったのである。これで「戒告」なのである。そして、この懲戒処分後も東京弁護士会のクレサラ事件の研修の講師を行っていたのである。これを「忖度」と言わずに何というのであろうか?
東京弁護士会に限らず、各単位弁護士会が懲戒処分を下すときには「処分の均衡」を念頭に置いて処分を下すはずであるが、本当に「処分の均衡」など考えているとは筆者には思えない。また、今回のアディーレ法律事務所の処分の原因となった弁護士広告を解禁したのは、日弁連・各単位弁護士会であることも事実である。この広告解禁と「債務整理」「過払い金返還請求」の時期がリンクしアディーレ法律事務所以外にも新司法試験組を中心とする同様の「過払い金返還請求」に特化した弁護士事務所が増殖したのである。
今回のアディーレ法律事務所への処分に対しての意見は色々あるだろうが、何よりも筆者は「お友達」を優先するデタラメな弁護士自治を正すことが必要であり、公正な弁護士懲戒制度を運用するためには「同僚裁判」でなく、第三者機関によってしかできないのではないかと考えている。
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