弁護士が大量の広告を出稿し、依頼者を集めるビジネスモデルの嚆矢は、法律事務所ホームロイヤーズ(現法律事務所MIRAIO)であろう。2001年に設立された同事務所は、積極的な広告展開で多くの依頼者を集客した。代表弁護士である西田研志弁護士(東京)は「サルでもできる弁護士業」という本を出版し、弁護士自治批判と、債務整理における大量処理はパラリーガル(事務員)の導入で可能であるとの主張を行った。この西田弁護士の書籍には、現役の弁護士から多くの非難の声が上がったが、過払い金請求や債務整理などについては本当に「誰でもできる」事も真実であり、弁護士自治がゆがんだ運用がなされている事も事実なのである。貸金業者に受任通知を送り、取引履歴を取り寄せ、利息制限法に基づく計算を行い、過払い金があれば請求を行い、債務が残っていれば破産もしくは弁済の交渉を行うだけなのであるから、日本語が理解できて最低限のPCスキルがあれば充分にできるのであるから、あながち「サルでもできる」という表現は誇張でも何でもないのである。
このような中で、2004年にアディーレ法律事務所が設立され、ホームロイヤーズと同様の大量の広告で依頼者を集客する方法で急成長し、全国各地に支店の展開を行うようになったのである。この時期、多くの弁護士らが「過払い金」を目当てに広告をTVCMなどで流すようになった。同時に司法書士も過払い金請求に参入し弁護士と同様にTVCMなどで集客を図るようになってきたのである。
この時期から過払い金争奪に、様々な勢力が弁護士業界に参入し、中には犯罪集団と手を組んで過払い金返還請求を行う弁護士も出現し、以下の参考リンクのような事件も発生したのである。
【参考リンク】弁護士法違反事件に関与か=容疑の邦人、タイで逮捕 弁護士自治を考える会
このような事件が表面化したのは、ほんの一部であり、弁護士と犯罪集団の結託が「過払い金返還請求」が全盛を迎えた時代に一層進んだのである。そして、過払い金の返還が下火になってくると、非弁提携などがない広告に集客を頼る弁護士事務所は「残業代請求」「B型肝炎の賠償請求」などをネタに集客を行い、非弁提携で集客をしていた事務所は詐欺師と結託し「詐欺被害金の返金」を詐欺の「カモリスト」を元に集客を開始したのである。良い例が江藤馨元弁護士であり、懲戒処分の事前公表がなされた佐々木寛(東京)であろう。
【参考リンク】
江藤馨元弁護士の後釜の佐々木寛弁護士(東京)に、江藤と同様の詐欺的勧誘行為で懲戒処分の事前公表
この事務所の実質的経営者は覚せい剤中毒者であるとの情報も寄せられており、筆者は東京弁護士会に事実を調査の上で意見を送る予定であるが、詐欺師の片棒を弁護士が担いでいる事実を日弁連・各単位弁護士会は重く受け止めてほしいものである。
ざっと、過払い金返還請求・債務整理と弁護士業界の軌跡を振り返ってきたが、過払い金返還請求・債務整理などの消費者保護を地道に行ってきた、宇都宮弁護士らの功績は充分に評価されるべきものであるが、果たして「過払い金返還請求」が本当に国民のためになったのかは疑問である。弁護士と関係者のフトコロを潤しただけなのかを日弁連・各単位弁護士会は客観的に分析をする必要があるだろう。
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